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月ノ揺籠

日記とか感想とか絵とかお返事とか徒然に。 ワートリ:嵐時・諏訪荒・当奈良。 ※イラストや小説等の許可のない転載・発行を禁止します。

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 ふわり、ふわり

 ふわり、ふわり



 雲の上をたゆたうような心地。
 日差しがぽかぽかとあったかくて、風がやわらかくて、たまらなく気持ちいい。
 大きくて骨張った手のひらが、ゆっくりと髪を撫でてくれる。
 そのぬくもりが、とても優しくて。
 心地いい。





 ―――何やってんだ俺は

 数分前まで日番谷の頭の中を席巻していた疑問は、もはや跡形もなく消え去っていた。
 遠くに見えるは移りゆく季節の彩り。膝の上の重みはただただ心地よく、思考は静かに霞みを纏わせている。
 師走まで一月を切ったが、天気がよければまだ日中は暖かい。風がどんどん冷たくなっていっているから、野外での昼寝はそろそろ納め時だろうが。

 ふと、膝の上のぬくもりが身動いだ。
 まどろんだまま見上げてくる榛に視線を向けて、それから視界の隅に己の手を見つけて、初めて日番谷は無意識に髪を撫でていたことに気づく。
 なんとなく手を離すと、雛森がとろんとした目つきでその動きを追った。
「て……」
 ぽつりと落とされた一文字に、日番谷は内心で首を傾げる。
 それから雛森の視線を追って合点がいくと、たった今引いた手を彼女の目の前で広げた。
「手?」
 雛森が手を伸ばして、そっとその手を両手で包みこむ。まどろみのためかいつもより高い体温に内心ドキリとし、されるがまま自分の手の行方を目で追った。
 子供のようなぬくもりに包まれた日番谷の手のひらは、雛森へと引き寄せられ、そのまま頬を寄せられる。
 まるで猫のようだと、日番谷は思った。
 子供というより子猫だ。吐息が手首をかすめて少しだけくすぐったい。
「ひつがやくん、て、おおきいねぇ」
 眠りの残滓をまとわせたような口調で雛森が言い、日番谷はちょっと目を丸くした。
「そうか?」
「ん……」
 手のひらに頬をうずめたまま、こっくりと雛森は頷く。やはり吐息がくすぐったくて、けれど振りはらう気には到底なれなくて、結局日番谷はされるがままだ。
「『シロちゃん』のては、もっとちいさかったよ」
 とろりとろり、雛森は今にも眠りの淵にとろけそうだ。
 その様子に知らず目許をゆるませ、日番谷は言う。
「何年経ったと思ってんだ」
 時の流れはゆるやかに、ときに容赦なく、そして確実にふたりを変えていった。
 思い出は気持ちのいいものばかりではないけれど、その体験を経たからこそ今の自分があるのだと、今なら胸を張って言える。
 日番谷の世界が老婆と彼女だけで構成されていた頃は、こんな未来がくるだなんて、思ってもいなかった。
 失ったものはたくさんあるが、得たものは大きい。
 何よりも今、傍らに愛してやまないぬくもりがあって、のんきに日番谷の膝でまどろんだりなんかして。
 とてもとても幸せそうな微笑みを向けてくれる。
 心が満たされる。
 それだけで、充分だった。

 手のひらに頬を寄せたまま幸せそうに眠る彼女に、日番谷はやわらかに目を細めた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 見てわかるとおり書き始めたの1ヶ月前ですよ。わぁ……(相変わらず遅筆)
 布団に入ったのは23時半なのに風邪っぴきで寝過ぎたせいかなかなか眠れません。
 初めての病欠!(泣)
 水曜に遅刻したばっかりだったので病欠だけは避けたかったんですが、いかんせん38℃を超えてしまうとさすがに……。
 木曜の午後の時点でかなりフラフラだったので、金曜はお休みを頂きました。
 有給残り4.5日……4月までもつのだろうか(汗) とりあえず年始4、5日の有給は取り消しだなぁ(年始の休みは3日まで)

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ぐるんぐるん

ぐるんぐるん

水の中から外界を仰ぎ見るように、視界はぐにゃりと歪んでいた。
背中に布団の、頭の下には枕の感触を感じるのに、まるで世界が不規則に回転しているような、そんな不安定感を覚える。
否、もしかしたら回転しているのは自分かもしれない。そうだ、布団ごと回転しているのだ。だから背中に布団の感触があるのに視界はぐるんぐるんなのだ。

増長する歪みから逃れるように、日番谷は目を閉じた。

ぐわんぐわんと、頭の中で鐘をついたような、二日酔いにも似た頭痛が絶え間なく襲いくる。
目を閉じているはずなのに、眩暈が酷い。吐気がする。
全ての血液が沸騰してしまったかのように、身体中が熱い。
喉がカラカラだった。水が飲みたい。冷たい水が。

意識は朦朧として、思考は麻痺してしまっていた。
沈んでは浮き、沈んでは浮き。
もはや自分がどれくらいの時間こうしているのか、ここが夢なのか現(うつつ)なのかすらわからない。

ふと、額に水気を帯びた冷たいものがあてられる。中途半端な深さを漂っていた意識が、急速に浮上した。
重たい瞼を無理矢理こじあけると、歪んだ世界が飛び込んできた。視覚が狂っている。
それに押し潰されそうになって、再び日番谷はきつく目を閉じる。

甲高い音が耳の奥で絶え間なく響く。うるさい。聴覚までイカれたのか。



「日番谷くん」



ぴたりと、耳鳴りが止んだ。
反射的に目を開ける。
視界の片隅に、彼女がいた。
相変わらずぐにゃぐにゃとにじみ、歪んでいる世界で、彼女だけが鮮明だった。
日番谷は顔をそちらに向けた。



「……ひなもり」



かすれたうめき声にしか聞こえないそれは、けれど彼女の耳にはしっかりと届いたようだ。
心配そうに強張っていた表情に、ホッと安堵の色がにじむ。

雛森は手を伸ばして、日番谷の額からずり落ちた手ぬぐいを拾いあげた。ついさっき氷水にひたしたばかりだというのに、もう生温い。
再び手ぬぐいを氷水にひたしている間に、日番谷の額にふれる。
ひんやりとした感触が心地よくて、日番谷の瞼はとろりと下がってゆく。
やがて、手ぬぐいを絞るために手のひらが離れてゆく。 追うように、日番谷は重たい瞼を持ち上げた。

相変わらず歪んだ世界に、彼女だけが鮮明だった。



===========================
はいもう何がなんだかわかりませんねー。
風邪っぴき日番谷くんです。世界の中心は君だ! みたいな(意味不明)
あれだ。酒がまだ残ってるんですよきっと。

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「あら」
 夜も更けたころ。
 仮眠のため2階の自室へ戻っていた乱菊がリビングのドアを開けると、そこには大変珍しい光景があった。
 乱菊は足音を立てないように、そろりそろりとソファへ近づく。
 ソファでは、酔い潰れた雛森がすやすやと穏やかな寝息を立てていた。
 よく缶チューハイ1本でこれだけ酔うことかできるもんだと、乱菊は感心にも似た思いで寝顔を見下ろす。
 自然と笑みがこぼれた。
 幸せそうに眠る彼女と、その手を握ったままソファにもたれかかるようにして眠る弟に。

 どうかこの1年が、ふたりにとって良い年でありますように、と。

 こっそりと、胸の中で乱菊は祈った。


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 なんかもうムリです(ぇ
 だらだらダラダラ話が長くなっていってしまったので、こりゃいかんと即席で書き直しました。
 長くなってしまったモノはあとでじっくりと直して東京戻ったらサイトにUPしたいと思います。
 てーかあれですね。日番谷くん名前すら出てませんね弟なのに。
 設定は仔猫シリーズのアレです。なんで雛森がこんな時間にいるのかとかはあとで考えます(をい
 てか仔猫シリーズって……今回仔猫の“仔”の字すら出てきてないじゃん……;



 日雛親子物語が無性に書きたい今日この頃。
 でも子供の性質というか行動というかがよくわからなくてつまりネタがないんですがorz
 とりあえず告白からいってみよーか(さかのぼりすぎだ)

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「かわいい!!」
 開口一番、挨拶よりも先にそう言って、雛森は瞳を輝かせた。
 その視線の先にはダンボール箱、の中に、二匹の真っ白な仔猫。
「どうしたの、このコたち?」
 古タオルに包まれてまどろむ仔猫に手を伸ばしながら、日番谷に訊ねる。
「知らん」
 不機嫌さを隠そうともしない日番谷の返答に、雛森はきょとんとした。
 目で説明を求める。
「朝起きたら置いてあったんだよ」
 ため息まじりにそう言って、雛森に紙切れを指し示す。
 曰く、

『ヨロシクv』

「…………」
 ご丁寧に真っ赤なキスマークつきである。
 記名はされていないが、このキスマークが何よりも雄弁に犯人(?)の正体を物語っている。というか、この家でこんなことをする人物なんて雛森の知る限りひとりしかいない。
「……乱菊さんは?」
 恐る恐る、雛森は訊ねた。
 その名を口にした瞬間、日番谷の纏うオーラが閻獄の焔のごとく立ち上った。眉間の皺も深くなった。けれど雛森になす術はない。とりあえず大人しく日番谷の返事を待った。
「まだ寝てる」
 忌々しげに吐き捨てる。
 夜のお仕事をしている乱菊は、明け方帰ってきて夕方に出かける。起きるのは大抵昼頃だ。
 一家の家計は乱菊に支えられていると言っても過言ではないので、日番谷は寝ている乱菊を絶対に起こさない。
 優しいなぁと雛森は思うのだが、わざわざ言うことでもないから口にはしない。
 それでも表情には出ていたらしく、日番谷にはなんだよといった感じに睨まれてしまったが。
「ねぇ、日番谷くん。このコたちどうするの?」
「飼うんだろ。くそ、また俺が面倒みるのかよ」
 乱菊は時々、なんの前触れもなく動物を拾ってくる。この間は雀だった。片方の翼に負っていた傷が癒えて放したのは、記憶にまだ新しい。そしてその雀もやっぱり、世話をしたのは日番谷だった。
 悪態をつくそのさまは諦めているようでもあるし、すでに受け入れているようにも見える。なんだかんだ言って、この小さな仔猫たちを再び捨ててくるようなことは日番谷にはできないのだ。
 やっぱり優しいなぁ。
 雛森は心の中で仔猫たちに呼びかけた。
 よかったね、優しいひとたちに拾われて。

 傷ついた雀を、捨てられていた仔猫たちを見捨てられない乱菊も。
 悪態をつきながらも、受け入れ、かいがいしく世話をする日番谷も。

 雛森の周りには優しいひとたちばかりで、それがとても嬉しくて、誇らしい。

 自然と緩む頬をそのままに仔猫の背を撫でていると、ふと、身じろいだ。
 起こしちゃったかなと慌てて手を引っ込める。
 けれど既に遅かったようで、仔猫はむくりと身を起こすと、眠気を追い払うようにふるふると頭を振った。
 その目がぱちりと開かれて。
 雛森を見上げた。
「――――……」

 碧の、瞳だった。

 深い海の底のような。
 萌える春の樹木のような。

 鮮やかな、碧。

 まるで、白銀の幼馴染の瞳のような――――。

「……ねぇ、日番谷くん」
「あ?」
「このコ、貰ってもいい?」
 唐突な雛森の申し出に、日番谷は軽く目を瞠る。
「……いいのか?」
 二匹を世話するのは大変だろうからと、そういう意味で雛森が引き取ると言ったのかと日番谷は考えた。
 そんな日番谷の思考が伝わったのか、雛森は仔猫に視線を向けたままくすりと微笑んで、違うよと言った。
 腕を伸ばして、そっと碧目の仔猫を抱き上げる。
 大人しく腕の中に納まった仔猫は、雛森を見上げてにゃあと鳴いた。
 まるでよろしくと言っているように聞こえて、そんなガラでもない己の思考に日番谷はちょっと驚いた。
「よろしくね」
 彼女にもそう聞こえたらしい。微笑んでそう返した。
 優しく耳の後ろを撫でてやると、仔猫は気持ちよさそうに目を細めた。
「名前考えないとね」
「ついでにこいつのも考えてくれ」
「えー、日番谷くんも一緒に考えようよ」
「メンドイ」
「もー、しょうがないなぁ」
 台詞とは裏腹に、どこか楽しそうに雛森は言う。
 仔猫を見下ろすと、心地よかったのか眠ってしまっていた。
 小さな身体が呼吸に合わせてかすかに上下する。体毛は一点の曇りなく真っ白で、それはまるで雪のようだった。
 ぽつり、と。
 ひとつの単語が雛森の脳裏に浮かぶ。
 それを舌の上で転がすように幾度か呟いて、雛森は満足げに頷いた。

「白雪」

「……しらゆき?」
 確認するように、日番谷が訊ねる。
「うん。雪みたいに真っ白だから」
「安直」
「いいのっ」
「まぁいいけどな、そいつ、雄だぜ?」
「そうなの?」
「碧目が雄で蒼目が雌」
 そうなんだ〜とどこか嬉しそうに呟く雛森に、日番谷は胸中で小首を傾げた。
 「白雪姫」から取ったのかと思ったのだが、どうやら違うらしい。
「で、こっちは?」
 いまだダンボールの中で眠り続けているもう一匹を視線で示す。
 雛森はじっと仔猫を見つめたあと、ぽつりと名前を呟いた。


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 なぜか続いております仔猫シリーズ(シリーズ?
 乱菊さんはお金持ちな市丸氏が趣味で経営している風変わりなバー(?)で歌ったり配ったりお話したりするお仕事です。最初ホステスにしようと思ってたんだけど資料が見つからないからオリジナルにしたなんてこと内緒です。
 なんかこのまま詳しい設定書き出して長編になりそうな予感……。

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「おはよう、日番谷くん」
「よぉ」
「あれ、マフラーどうしたの?」
「六花(りっか)の餌食になった」
 六花とは、日番谷が飼っている仔猫の名だ。ある日姉の乱菊が拾ってきたのだが、世話は全て日番谷に押しつけられている。
 薄蒼の瞳が綺麗で、純白の毛並みを持つ雌猫。雪のようだと言って雛森が命名した。
 その六花が、昨晩乱菊が無断で借用し放置していた日番谷のマフラーを、こともあろうにオモチャにしてボロボロにしてしまったのだ。
 おかげで日番谷は今日マフラーなしである。ただでさえ冬は苦手だというのに。
 そうぼやくと大抵隣の幼馴染が「冬生まれなのにね」と笑うのだが、苦手なものは苦手なのだから仕方がない。
 コートの襟を立て、亀よろしく首を縮こまらせている日番谷に、雛森は訊ねた。
「新しいマフラー買うの?」
「乱菊に買わせる」
 もとはといえばアイツのせいだ、と毒づく日番谷に、雛森は心の中でほっとした。あとで乱菊に根回しをしておこう。

 ようやく、今年のプレゼントが決まった。


 日番谷の誕生日まで、あと三日。


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 めっちゃ今さらな日番谷くん誕生日SS。
 風呂入ってるときにぱっと思いつきました;
 猫の名前を氷輪丸にするかどうかものすごく悩みましたが、略称とかが思いつかなかったのでやめときました。
 最後の文章の「日番谷の誕生日」を「クリスマス」に換えればアラ不思議、クリスマスSSに早がわりw(阿呆
 クリスマス小説間に合いませんでしたねすみません(土下座
 明日(もう今日か)実家帰るから実家で頑張って仕上げることにします。年明けまでには……!

 実は乱菊姉さんが拾ってきた仔猫は2匹でもう1匹は雛森にもらわれて名前は雄なのに白雪(しらゆき)で目が碧で愛称はシロちゃんだという裏設定が!!!(今思いついた

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